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三日前に昇級試験不合格の通知を受け、三連休をずんぐりどろどろした気持ちで過ごしていました。いまだに立ち直れず。嗚呼。
合格する自信があったから辛いんじゃなく、死ぬほど頑張ったからこそ辛いし、結果を受け入れられない。頑張ったからといって必ず報われる訳ではない、ということは理解しているつもりだけど。

結果発表の日、泣くに泣けない状態で『ソニはご機嫌ななめ』を見に行きました。ラストショット、階段を上ってお宮の前でうろうろする男三人の姿が妙にしっくりときた。多分、『ソニ』では終始高低差のある場所が舞台になっていて、人々は上に行ったり行かなかったりする(チキンの店、先輩のアパート)からで、あのラストショットの取り方は男たちのふわふわした中途半端な感じと相まって良かった。
しかし、あくまで「中途半端であること」がしっくりするのだからやはり中途半端で、見ていてすっきりしなかった作品であることは確か。

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1年ぶりの更新。前に更新したときから生活は大きく変わりました。引っ越したり、就職したり。
最近は(といっても2か月位経ってしまっているけど)横山悠太『吾輩ハ猫ニナル』にたいへん感動しまして、自分も何かしら物を書かねば、という気持ちになっている。しかし芥川賞の発表に合わせて発売された単行本は、文字組みとか注の配置とかちょっと残念だったからファンとしては悲しかったよ。
映画は、増村保造『親不孝通り』が最近一番のお気に入りでした。描き様によってはいくらでも不快な作品になりそうなのに、女たちも男たちもからっとしていて、見ていて気持ちの良い一本だった。増村特集もあと三週くらいかな。まだまだ通います。

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「最近何か映画見た?」
「うーん…有名な作品だと『華麗なるギャツビー』見ましたよ」
「俺も見たぜ。財力手にしてもずっと一人の女を待ってたっていうやつだよな…女が好きそうな話だったなぁ…で、あれ最後どうなったっけ?」
「覚えてないんですか?!忘れるの早すぎでしょ、あはは」

大好きな先輩との、少し前の会話。くっだらないけど、こんな風に映画について誰かと話したことなんてなかったなぁと思ってなんだか頭のなかにのこっていた。
もっとあのひとと話せたら良かったのにな、と後悔する事があまりにも多くて、人との出会いを随分無駄にしてきたように思う。

最近は城定秀夫監督『ケイコ先生の優雅な生活』が素晴らしかった。

2012年、こんにちは

きょうは1月3日です、周りはお正月ムードなのに私はなんだかお正月という気分がしなくて、お正月を演じている世界で暮らしているような気分。へんなかんじ。
去年もあまり映画を見ることはできなかったなぁ、やっぱり東京で大学生活を送っていたころが一番時間もあったし、環境も恵まれてた。しかも大学生のころは映画の手帳を一冊作って感想をちょこちょこメモしていたのだけれど、それをすっかりやらなくなってからはぼーっと映画を見るようになってしまって。映画の感想でも日記でも、今年は自分が考えたことや感じたことをこまめに書きながら生活してゆきたい。

去年見た映画の中から印象深かった作品をいくつか。
 ・『ソーシャル・ネットワーク』(デヴィッド・フィンチャー
 ・『刑事ベラミー』(クロード・シャブロル
 ・『ゴダール・ソシアリスム』(ジャン=リュック・ゴダール
 ・『人生万歳』(ウディ・アレン
 ・『日本侠花伝』(加藤泰
 ・『千石纏』(マキノ雅弘
 ・『ブンミおじさんの森』(アピチャッポン・ウィーラセタクン
 あと作品ではないけれど、『中央評論』no.276に掲載された堀禎一監督の『リミッツ・オブ・コントロール』論も去年読んだ文章のなかで特に印象深かったたものの一つ。私はこれを震災についての文章だと勝手に思い込んでいます。

あと文学では、綿矢りさ勝手にふるえてろ』が面白かった。川上未映子のブログ『未映子の純粋悲性批判』でよんだエッセイ「すべての後に残るもの」もたいへん美しい文章でした。なにかの文芸誌で目にしてメモしていた言葉だけど、震災以前に川上未映子はこんなことを語っています。

―いずれ何もかもが消滅してゆくなかで、しかしわれわれはたしかに一緒にこんなふうな夢をみたのだと、生きたのだと―そんなイマージュとしか言いようのないものをつなげてゆきたいという祈りのような願いがあるのじゃないでしょうか。

「すべての後に残るもの」は、まさに南三陸町のイマージュをわたしに届けてくれた文章でした。

今年も相変わらずお金がないのでたくさん映画を見ることはできないかもしれないけれど、一つ一つの作品に誠実に向き合いたい。

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』

イーサン登場→脱獄の流れがとにかくかっこよくて、もうその後が霞んでしまうくらいだった。『ナイト&デイ』で死んだと思ったロイがジージャン姿で再び現れたときのアレ。イーサンの顔がみえた瞬間に待ってました!と言いたくなる。画面に顔が映っただけでこんなに興奮できるなんて、私はどんだけトム・クルーズに期待をしているのか…
モスクワ、ドバイ、ムンバイと海外で物語が繰り広げられた後、シアトルへ帰ってきたときの何ともいえない安心感。あのあたたかい雰囲気のなかでイーサンとブラントが会話するのはとっても良い感じなのに、イーサンの主観ショットを度々挿んでしまったがために少し落ち着きがなかったのが残念。

『指先』シングル入手したよん。わはは。
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『ヘヴンズストーリー』みてきました。復讐というと『接吻』を思い出すのだけれど、瞬発力のある『接吻』のエネルギーとはまた異なる持続の力が確かに存在しています。4時間38分かけて堆積したイメージが、質量をともなった物質になってゆくような不思議な体験。単純なことかもしれないが、演技から滲み出る感情の複雑さが好きだった。