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デプレシャン、そして六本木ダッシュ


ずっと楽しみにしていた3月20日。カイエ09年ベストワンのアラン・レネ『風にそよぐ草』(しかし原題Les Herbes Follesと呼んだほうがしっくりくる)と、アルノー・デプレシャン『クリスマス・ストーリー』を観た。どちらもデプレシャン、マチュー・アマルリックアンヌ・コンシニの舞台挨拶つき。
まずはユーロ・スペースで『風にそよぐ草』。上映前の舞台挨拶はせいぜい20分ぐらいで終わるだろうな・・・と思ったら、なんと1時間近くもあった。
アンヌ・コンシニに出演の打診をしたときのレネは彼女の出演作やインタビューを細かく調べた上で直接オファーし、とても丁寧に「君にこの役しか与えられないのが恥ずかしい位だ」と言ったそう。このエピソードには感動。直接レネの仕事に携わった人間として極めて決然とした口調で語るアンヌ・コンシニとは対照的に、(レネを愛するあまり)彼と一度しか会ったことがないデプレシャンはいささか早口で、少し興奮した様子で喋っていたのが印象的だった。ああ、このトーク録音しておけばよかった!
26日にまた観に行く予定なので、作品についてはまた後日。

上映終了後はタクシーつかまえて急いで六本木へ。ヒルズから映画館まで全力疾走。結局20分も遅れちゃったけど、デプレシャン『クリスマス・ストーリー』を堪能。こちらも素晴しい作品で、特に雪のシーンが良かった。酔って寝かされていたマチューがとび起き、雪のなか手を伸ばすシーン。一家の嫌われ者のアンリ(マチュー)が天使になる美しい瞬間。マチューかわいいよマチュー。そして、うっすらと雪がつもった車のフロントガラスから差す光。ここはぜひ注目してほしい。雪とか花火とかビニールカーテンとか、「そこにあるもの」でこんなに素晴しい演出ができるなんて、やっぱりデプレシャンは素敵な監督でございます。個人的にはチェンバロの曲の使い方も好き。
『クリスマス・ストーリー』は今年の秋に日本公開だそうです。楽しみ。