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『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(デヴィッド・フィンチャー)

公開当時にはなんだか気が向かなくて観に行かなかった作品。たしか予告編が好きじゃなかったんだよなぁ・・・若々しくバイクで駆けるブラピのショットが嫌だったし、勉強が忙しくて映画館にはあまり行けない時期だったし、何よりVFXに拠るところが大きい作品が好きではなかったから。でも今日DVDで観て猛省。これは劇場で見るべき作品だった。
ベンジャミンが船乗りになることを決意し、家を出るシーンが素晴らしい。ブラッド・ピット・・・ではなく、ベンジャミンの身体だけ演じた俳優の軽やかな歩き方も良いし、「どこにいても葉書を書いてね」と言われて去ってゆく彼のバックショットから純白のリボンで束ねられた葉書のアップショットへのつなぎ!! これには泣かされた。だって、リボンが本当に綺麗な白なんだよ・・・ DVDに収録されている監督の音声解説によると、このつなぎは編集のアイディアだそうです。素晴らしい。
デイジーがパリで事故に遭うシーン。暗い色調の画面のなか、ターンしながら外へ出る彼女のコートの黄色が記号としての黄色(『エレファント』)ではなく視覚的に美しい。その次のシーン、病室でベンジャミンを見て「あなた、完璧ね」と言われたときのベンジャミンの表情。思いもよらなかった言葉に対して戸惑いとかショックとか、いろんなものが詰まった何とも言えない凄い表情にすっかり魅了されてしまった。ブラピ様さま。
デイジーですら知らなかった事実(パリに残っていたこと)やキャロラインの出生、ベンジャミンとの接触が明らかになり、残された人間の人生に少なからず影響を与えてゆく語りも、(目新しいものではないが)キャロラインのリアクションが良かったから観ていて面白かったです。公開当時には「三時間かけて観る価値のある映画じゃない」なんて厳しい意見も聞いたけど、それは違うと思う。自分が見れない世界がいっぱい詰まっていた。2010年のいい締めくくりになりました。

TOEICの結果

がとどきました。スコアは785点。リスニング420点、リーディング365点。二年前?くらいに受験したときは670点だったから100点以上upしたと考えたら嬉しいけど、あと3問で800点と考えると悔しい。
仏検が終わってからの一週間で模試を一日一回やって軽く復習、というの最低限の対策しかできなかったけど、短期間で集中したのは逆に効果的だったと思う。あと英語のニュース(nhk world newsのpodcast)を聞き流してたらリスニングが少し力ついたかな。リーディングの時間との戦いは、どうやったらいいんでしょうか。800点台への大きな壁。最後に解いた空欄補充は考える時間ぜんぜん無かったもんなぁ・・・うーむ。

joyeux noel

一昨年はレポート8本の締め切りに追われ、去年は大学院入試目前、ということでここんとこクリスマスに気分が盛り上がることなんてこれっぽっちもなかったのですが、やはり今年も体調悪くて最悪な感じのクリスマス。もーなんだよー
去年のクリスマスは図書館で勉強して、辞書三冊と本十冊くらいドサッっと机に置いて、それはそれは精神的に大変だったけど、でも今振り返ったら幸せだったなぁと思います。joyeux noel!!

わすれたころに

仏検一次の合格通知が届きました。自己採点よりも点数高かったってことは、書き取りが思ったより出来てたのね。よかったよかった。来月は約一年ぶりにフランス語を話します。教授から「よかったね、院試は仏語の面接無くて・・・」って嫌味を言われる位ボロボロで、人見知りによって更に悪化する私のおふらんす語。どうにかなりますように!
消されてるかと思ったら、まだ残ってた!!

東京滞在記 四日目

午前中は新宿でカバンを探す。来年は面接もあるし、ビジネスにも持てる&大学生っぽくない鞄が欲しかったのだけれども、なかなか丁度良いものがみつからず。ポールスミスはんはデザインはかわいいけど、よーく見たら縫い方がちょっと甘かったし、展示されてる商品の底部の革が傷んでいたのが気になったので却下。ポーターは丈夫だけど形がメンズっぽいし・・・むずかしいね。
昼からはアテネでストローブ。『魔女―女だけで』『コルネイユブレヒト』『おお至高の光』。『おお至高の光』のすこーんと突き抜けるような開放感と、地面に映る雲の影が印象に残っている。これからストローブは35mmとDVを併用しながら撮ってゆくのでしょうか。
夜は日仏でギタイ『撤退』。ぶつかったり泣いたり、抱きしめたり誘惑したり、言葉だけでなくアクションで心情や出来事が示されているから、作品後半の激しさがとても自然に見える。特に母と娘が再会する場面は素晴しかった。物語がちょっと半端な感じも否めないけど、でも十分良い作品だった思います。
そういえば、「なんでマチュー特集なのにロジェ?」って来年のプログラムを疑問に思ってたけど、マチューセレクト作品としての上映なのね!チラシ見て初めて知った。マチューさんグッジョブです。ありがたやー。貯まったマイルで見に行くよ。
帰り道、ファミマのマカロンを買う。久々。うんまい!

東京滞在記 三日目

『はなればなれに』@ゴダール映画祭。愉快。くるぞくるぞ、もうすぐダンスシーンくるぞ!と思いながらニヤニヤして観る。小沼純一さんが『はなればなれに』の音楽が結構凝ったものだと言っていたのに(http://cinefil-imagica.com/dvd/column/0022.html)、うっかり聞き逃してしまった。
夕方からはアテネストローブ=ユイレ。『ヨーロッパ2005年、10月27日』『アルテミスの膝』『ジョアシャン・ガッティ』『ジャン・ブリカールの道程』。
ジョアシャン・ガッティ』だけ初見でしたが、若い男の写真にストローブが何か訴えてる声が重なる短い(二分?)作品。ルソーの『人間不平等起源論』を引用しながら「私、ストローブはあなたがたに言いたい!」と力強く語りかけるストローブにあっけにとられる。ヤフーフランスでググってみたらジョアシャン・ガッティが失明した原因であるフラッシュボールに関する記事がたくさん出てきたのだけど、ほんとに恐ろしい。顔は狙わないことになってるみたいだけど、失明に関する記事が数件出てきた。眼球砕く武器のどこが「致命傷に至らない人道的な武器」なのか。
『ジャン・ブリカールの道程』はずっと見直したいと思っていたから今回見れてよかった。ボートのエンジン音と横移動が心地よい。
上映後の吉田宏明さんの講演では興味深いお話が聞けました。パヴェーゼの世界では元々人間が存在していて、神の登場によって人間は限りある命を生きる動物として自己認識し始めるんですって。だから不死の神にとってはどうでもいい瞬間でも、いつか死んでしまう人間にとっては一度しか訪れない「特権的な瞬間」であり、それらを記憶(記録)する必要があった。だから言葉が生まれた。これがパヴェーゼの世界。
そこで浅田彰の「juste une image(ただの一つのイメージ)=ゴダール」と「une juste image(ある一つの、正しいイメージ)=ストローブユイレ」をひきながら吉田さんは、神的な「ただのイメージ」を人間的な「正しいイメージ」「特権的な瞬間」へ転換させるのがストローブ=ユイレであると語る。2005年10月27日の事件を、ジョアシャン・ガッティという男を、いつの日か失われるイメージを「正しいイメージ」という言語で記録する必要があったのだ。その「正しいイメージ」において電気椅子は「ガス室」という言葉と並置されることによってユダヤ人排除の記憶を呼び起こすだろう。

かなりざっくりとしたまとめになってしまったけど、色々なことにつながるお話でした。ふむふむ。

東京滞在記 二日目

この日はゴダールざんまい。シャンテで『気狂いピエロ』『右側に気をつけろ』『勝手にしやがれ』の順に鑑賞。上映前に流れたソシアリスムの予告編でががががーーーんと衝撃を受ける。やはりパソコンの画面を通して見ていた映像がスクリーンに映し出されるというのはなんというか、嬉しさや驚きが入り混じった不思議な興奮があります。個人的にはディスプレイのガラスを通して観た画も綺麗だったと思う。
気狂いピエロ』はとにかく新鮮だった。アパルトマンの部屋とバルコニーを行き来する場面の長回し。室内と屋外でこんなふうに光は違っていたのか。カリーナとベルモンドが「私の運命線」ma ligne de chanceと歌うシーンも、おおきなスクリーンで観ればさらに奔放でバカっぽくて、みていて幸福な気分になる。もう何もかもが凄かった。ヌーヴェルヴァーグの金字塔とか関係ないし、自分の中でこの作品を神格化していたつもりもない。単純にスクリーンで観た『気狂いピエロ』には全てが存在していて、だからとても人間の仕事とは思えず、おそろしかった。ラストカット、全景で崖の爆破からパンして太陽に近づくにつれて白みがかる空と海の美しさ。太陽の光が現実のようにただ眩しい光ではなく、美しい白として画面に存在し、海の青と混ざり合っていた。これが映画なんだ、と思った。

実際はこんなもんじゃあなかった。ぜひ映画館で確認して下さい。

勝手にしやがれ』は大学のレポートを書く為に何度も観た作品で、かなりリラックスしてゆるーく観れた。
私のすぐ前に大学生らしきカップルがポップコーンとか食べながら座っていて、「ふん、ゴダール観るのがオシャレだと思ってるんだろうな」と思っていましたが、上映後に彼氏のほうが「エンドロールとか無いんだね」と言っていて、どうやらゴダールどころか映画もあんまり知らないような感じだったので逆に好印象。君たち次は『ナイト&デイ』に行きなさい!エンドロール流れるし、ベッドシーン無いから気まずくないよ!お早めにね!