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マラルメと大戦

ずっと買えなかった岩波文庫マラルメ詩集』(鈴木信太郎訳、1963年)を筆記試験ついでに母校の生協で購入。筑摩の世界文学大系マラルメ・ヴェルレエヌ・ランボオ』にも鈴木訳のマラルメの詩があったと思うけど、やはり文庫だと手軽に読めて良い。邦訳だけで読むと「原文どんなんだっけ?」と気になってイライラするのがアレですけど、「半獣神の午後」は幸い暗記していたのでストレスフリー。一行目の改行あとの《 Si clair, 》が置かれる場所に「叢(むら)がる」という語を置いていることには驚いたし、「夢幻に耽りしか」という響きはとても素敵だと思った。
あとがきでは訳者が第二次世界大戦中に苦労しながらマラルメについての資料を集めたエピソードが綴られており、マラルメと大戦という結びつきに心を揺さぶられた。そうか、あの時代の日本でマラルメの跡を必死に追い求めたひとがいたのか。アンリ・モンドールの『マラルメ伝』をドイツ占領下のパリから日本へ持ち帰ってくれた日本人はどんな人だったんだろう。イッペルボール!

マラルメ詩集 (岩波文庫)

マラルメ詩集 (岩波文庫)

夜のガスパール―レンブラント、カロー風の幻想曲 (岩波文庫)

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